めまい
〔 ふわふわ・クラクラする 〕
症状によって原因も違うので一度ご相談をして下さい。
めまいについて
頭痛以外に、めまいや手足のしびれも脳疾患につながっている場合があります。
手足のしびれは頸椎の病変が起きている可能性もあり、頭と頸椎を同時に見ることができるMRI検査を受けることで、脳疾患の早期発見につながります。
めまいや手足のしびれといった症状を前兆として、症状の改善に生かすことができます。
めまいの原因が耳からくるものであれば命に関わることはありませんが、脳の疾患からくるめまいであれば、命に関わる危険性もあります。
脳の病気が見つかった場合重篤になりやすく、早めの検査がより大きな病気の早期発見になります。
耳鳴りが伴う
めまいの場合
めまいと同時に耳鳴りを伴う症状をお感じの方もおられると思います。
この場合は原因が別のところにあり、血管の奇形などが疑われることもあります。
こうしたケースでは脳の内部を詳細に観察することが原因の特定につながるので、当院では頭部MRI検査による検査・診断をいたします。
めまいの比較
回転性めまい
自分自身がグルグル回っているじ
周囲がグルグル回っているように見える
音が聞こえづらい(難聴)
耳がつまった感じ
耳鳴りがする など
急に発症し、吐き気・嘔吐、耳が聞こえづらくなる(難聴)などの症状を伴うことがあります。回転性めまいの多くは、耳の異常が原因で起こります。放っておくと、難聴になる恐れもあります。また、脳出血や脳梗塞といった脳の異常でも回転性めまいが起こることがあります。
浮動性めまい
からだがフワフワした感じでふらつく
まっすぐ歩けない
姿勢を保つのが難しい
頭痛
顔面や手足のしびれ
運動まひ など
急に、あるいは徐々に症状があらわれ、フワフワ揺れる感じと、頭痛やしびれ、運動まひなどの神経に関係する症状を伴うことがあります。浮動性めまいの多くは、脳の異常が原因で起こります。
大切なこと
めまいには回転性めまいと浮動性めまいの二種類があることはよく知られています。
高齢者のめまい感に関しては現在でも不明な部分が多いとされています。
めまい感に関する報告の大半ではその原因は多様とされ、うつ状態などもその一つにあげられています。
めまい感を訴える高齢者は、耳鼻科や内科でも「異常なし」と診断されることが多く、それにもかかわらず症状が改善しないので複数の医療施設を転々としがちです。
頭部MRIをすることにより白質病変、脳室拡大、前頭菜を中心とする脳萎縮などの発見が可能です。
脳に異常があるめまい
小脳梗塞 | |
特徴 | 動脈硬化の危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙)や心房細動を伴っている患者様に多く生じます。症状としては、片側の手が上手く使えない、立ち上がっても毎回同じ側に倒れてしまうことが特徴です。 |
診断方法 | 特徴的な眼振(目の揺れ)のチェック。頭部MRI検査(小脳梗塞の確認) |
治療方法 | 早期の脳卒中治療薬の点滴療法とリハビリテーション療法が必要です。 |
脳幹梗塞 | |
特徴 | 動脈硬化の危険因子を持つ患者様に多く生じます。めまい以外にも顔と体半身の痺れ、構音障害(呂律が回らない)、複視(ものが二重に見える)などの症状を伴うことが多いです。 |
診断方法 | 上記症状の確認、頭部MRI検査(脳幹梗塞の確認) |
治療方法 | 早期の脳卒中治療薬の点滴療法とリハビリテーション療法が必要です。 |
椎骨脳底動脈解離 | |
特徴 | 動脈解離とは血管が裂ける状態のことで激痛を伴います。椎骨脳底動脈解離(後頚部の激痛)を生じると、多くは脳幹梗塞(めまい)を伴います。そのため強い後頚部痛の後にめまいを生じた場合は椎骨脳底動脈解離を疑います。 |
診断方法 | 診察:脳幹梗塞症状のチェック 頭部MRI検査:脳幹梗塞を確認するとともに脳血流の検査である頭部MRAで椎骨動脈が裂けていることを確認します。 |
治療方法 | 基本は降圧療法を行い、脳梗塞やくも膜下出血を予防する治療を追加します。 |
椎骨脳底動脈循環不全 | |
特徴 | バランスを調整する小脳や脳幹に血流を送るのが椎骨脳底動脈です。その椎骨脳底動脈が動脈硬化などにより狭くなり、血流が不安定になると椎骨脳底動脈循環不全を生じます。一過性のめまいが特徴ですが、痺れ、構音障害、複視などの脳幹梗塞のような症状を同時に伴うことが多いです。 |
診断方法 | 診察:めまい以外の症状なし 頭部MRI検査:頭部MRAで椎骨脳底動脈の狭窄を確認します。 |
治療方法 | 抗血小板剤の内服 |
脳腫瘍(聴神経腫瘍) | |
特徴 | 聴神経腫瘍とは、前庭神経というバランスの神経に発生した脳腫瘍(良性腫瘍)のことです。多くは聴力の異常(聴力低下、耳鳴り)で発症しますが、腫瘍の増大に伴い脳幹を圧迫するとめまいを生じます。また、非常に腫瘍が大きくなると同側の顔の痺れを伴うことがあります。 |
診断方法 | 問診:聴力障害が先行しためまい。及び同側の顔の痺れ。 頭部MRI検査:内耳道という神経の通り道に聴神経腫瘍を認めることができます。 |
治療方法 | 良性腫瘍なので基本は経過観察です。しかし腫瘍の大きさが3cmを超える場合は治療(まずは放射線治療)を考慮します。4cmを超える場合は脳幹への強い圧迫を伴いますので手術加療(開頭腫瘍摘出術)を考慮しないといけませんが、難易度が非常に高い手術となりますので、信頼がおける聴神経腫瘍のエキスパートに執刀してもらうことが重要です。 |
耳に異常があるめまい(耳性めまい)
良性発作性頭位めまい症 | |
特徴 | 前庭にある耳石が剥がれ、三半規管に迷入することが原因です。起床後、トイレに行こうと立ち上がった際に非常に強い回転性めまい(ぐるぐる目が回ります)を生じることが多いです。立っていられず横になるとめまいは一時的に止まりますが、頭を横に向けたり起き上がると再びめまいを生じます。蝸牛には異常がありませんので難聴や耳鳴りはありません。 |
診断方法 | 診察:めまい以外の症状なし。頭位変換によるめまいの誘発、特徴的な眼振。 頭部MRI検査:異常所見なし(脳梗塞や脳血管に異常がないことを確認する) |
治療方法 | 数日で軽快しますが、めまいによる嘔吐を伴うことが多く、脱水症が疑われる場合は補液を行います。後遺症はありませんが、数年後や数ヶ月後に繰り返し生じることが多いです。 |
メニエール病 | |
特徴 | 蝸牛、三半規管、前庭の中を満たす内リンパ液に不具合を生じることが原因と考えられています。蝸牛、三半規管、前庭に不具合を生じますので、めまい(三半規管・前庭の症状)以外に難聴や耳鳴り(蝸牛の症状)を伴います。 |
診断方法 | 診察:めまい、難聴、耳鳴りの確認。眼振チェック 頭部MRI検査:異常所見なし(脳梗塞や脳血管に異常がないことを確認する) |
治療方法 | 抗めまい薬やステロイドが効果がありますが、全例、耳鼻咽喉科へ紹介します。 |
前庭神経炎 | |
特徴 | 突然発症する強い回転性めまいが特徴で、良性発作性頭位めまい症とよく似ていますが、横になってもめまいは止まらず持続的です。蝸牛には異常がありませんので難聴や耳鳴りはありません。 |
診断方法 | 診察:めまい以外の症状なし。持続性めまいの確認、特徴的な眼振。 頭部MRI検査:異常所見なし(脳梗塞や脳血管に異常がないことを確認する) |
治療方法 | 数週で軽快しますが後遺症残ることもありますので全例、耳鼻咽喉科へ紹介します。 |
突発性難聴 | |
特徴 | 内耳(蝸牛、三半規管、前庭)の血流障害が原因と考えられており、ある日の突然発症する片側の難聴が特徴でめまいはさほど強くありません。 |
診断方法 | 診察:上記の特徴を聴取 頭部MRI検査:異常所見なし(脳梗塞や脳血管に異常がないことを確認する) |
治療方法 | 突発性難聴は早急のステロイド治療が重要で治療が遅れると、後遺症となりますので全例、耳鼻咽喉科へ紹介します。 |
その他(一過性の意識消失:失神)
迷走神経反射 | |
特徴 | 脳へ送られる血流が一過性に減少し気を失います。特徴は「倒れてしまう」という前兆があることと、失神後にすぐに意識が回復することです。原因として満員電車や暑い場所、採血時の緊張や痛みなどがあります。 |
診断方法 | 低血圧及び徐脈が特徴だが診察時はほとんど回復している。身体所見は異常なし。 |
治療方法 | 原因となるような状況を避けるように指導。繰り返すことが少なくなく、前兆を感じたらしゃがみ込むように指導します。 |
起立性低血圧 | |
特徴 | 立ち上がった直後に脳へ送られる血流が一過性に減少し気を失います。原因として自律神経障害(ストレス、糖尿病、パーキンソン病など)、貧血(胃・十二指腸潰瘍、胃がん、大腸がん)、薬の副作用(降圧薬、利尿剤)などがあります。 |
診断方法 | 診察:起立時の低血圧及び頻脈をチェック、眼瞼結膜のチェック、内服薬チェック 血液検査:貧血チェック。 |
治療方法 | 原因となっている疾患の加療をしつつ、ゆっくりと立ち上がることや生活リズムの改善を指導します。 |
心疾患による失神(不整脈、弁膜症、心筋症) | |
特徴 | 立位、臥位にかかわらず突然生じるが特徴です(「倒れてしまう」という前兆を伴いません)。また、階段の登り降りや運動など心臓に負荷をかけている時に突然生じた失神は心疾患を考える必要があります。 |
診断方法 | 診察:聴診(弁膜症、不整脈のチェック) 胸部レントゲン撮影:心臓の疲弊(心拡大)をチェック 心電図:危険な不整脈が隠れていないかチェックします。心電図で異状所見がなくとも、危険な不整脈が疑われる場合はホルター心電図を行います。 |
治療方法 | 心疾患が疑われる場合は全例、循環器科へ紹介します。 |